ビットコインとイーサリアム。この2つは「暗号資産(仮想通貨)」の代表格として知られていますが、その根本的な目的と設計思想には大きな違いがあります。
結論から言えば、
**ビットコインは“価値の保存と送金のための通貨”**であり、
**イーサリアムは“あらゆる契約やアプリを実行するためのプラットフォーム”**です。
✅ 結論:イーサリアムは「契約の自動実行」ができる汎用ブロックチェーン
イーサリアムの最大の特徴は、単なる通貨の移動だけではなく、「スマートコントラクト」と呼ばれるプログラムをブロックチェーン上で動かせることです。
これにより、たとえば以下のような処理が自動で行えます:
- 指定の条件を満たしたときに自動送金
- 投票や抽選などの自動実行
- ゲームや金融アプリの構築と運営
イーサリアムは「分散型アプリの実行基盤」として設計された、より多機能で柔軟なブロックチェーンなのです。
✅ ビットコインとイーサリアムの比較表
項目 | ビットコイン | イーサリアム |
目的 | 価値の保存・送金 | 分散型アプリの実行基盤 |
機能 | 通貨のやり取りのみ | 通貨送金+契約実行+アプリ構築 |
プログラム実行能力 | ほぼ無し(条件付き送金程度) | 何でも可能(チューリング完全) |
柔軟性 | 固定的 | 拡張可能・柔軟 |
技術的複雑性 | 比較的シンプル | 高度かつ多層的 |
✅ イーサリアムの技術が複雑な理由
① スマートコントラクト(自動契約)
イーサリアムでは、**「条件を満たせば自動で実行される契約」**をコードで書くことができます。
たとえば「期日になったらAさんに報酬を送金する」といった処理が、中央管理者なしで自動で行われます。
一方、ビットコインにも「Script」という簡易言語がありますが、機能はかなり限定的で、複雑な条件分岐やロジックは扱えません。
② DApps(分散型アプリケーション)が動く
イーサリアム上では、誰でもゲーム・金融サービス・NFTマーケットなどのアプリを構築できます。これらは「DApps(ディーアップス)」と呼ばれ、中央サーバーに依存せずに運用されます。
このような仕組みは、ビットコインには存在しません。ビットコインは「通貨の移動」以外の用途にあまり適していないのです。
③ EVM(Ethereum Virtual Machine)という仮想マシン
イーサリアムには「EVM(Ethereum Virtual Machine)」という仮想マシンが組み込まれています。これは、ブロックチェーン上でプログラムを実行するためのエンジンです。
EVMがあることで、スマートコントラクトが動き、DAppsが稼働できるようになっています。
ビットコインにはこのような仮想マシンはなく、柔軟なプログラムの実行には向いていません。
④ アカウントベース vs UTXOモデル
- ビットコインは「UTXO(未使用取引出力)」モデルを使っています。これはセキュリティに強い設計ですが、柔軟性に欠け、プログラム処理には向いていません。
- **イーサリアムは「アカウントベース」**で、残高や契約状態の管理がシンプルです。これがスマートコントラクトやDAppsとの相性の良さにつながっています。
✅ まとめ
ビットコインは、通貨としての機能に特化し、設計もシンプルで堅牢です。
イーサリアムは、契約やアプリまで実行できる「分散型コンピューター」として設計され、より複雑で高機能です。
あなたがブロックチェーンに何を求めるかによって、どちらを使うべきかが変わってきます。
より技術的な仕組みの違いを詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください: イーサリアムとビットコインの技術的違い:複雑性と機能性の比較
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