代表的DLTプロジェクトの分かりやすい分類(2025年版)

DLT

そもそも:DLTって何?

DLTとは「Distributed Ledger Technology(分散型台帳技術)」の略で、複数のノード(機器)が同じ台帳を共有・合意・更新できる仕組みの総称です。

・なので、DLTの一種が「ブロックチェーン」となります。

詳しくはこちらの記事 → DLTとは?ブロックチェーンだけじゃない”分散型台帳技術”の全体像を解説

DLTプロジェクトの4分類:まず全体地図を押さえる!

DLT(分散型台帳技術)
├─ 非ブロックチェーン型DLT(④)
│   ├─ Corda(コルダ)        :金融機関向け。ブロックなし。取引は相手とだけ共有。
│   ├─ IOTA(アイオータ)      :IoT向け。DAG構造。取引が新たな取引を検証する。
│   └─ Hedera Hashgraph(ヘデラ・ハッシュグラフ)
│                                :高速・安全なグラフ型DLT。特許技術あり。
└─ ブロックチェーン型DLT(①〜③)
    ├─ パブリック型(①)※誰でもノード参加できる完全分散型
    │   ├─ Bitcoin(ビットコイン)    :最初のブロックチェーン。非中央集権の通貨。
    │   ├─ Ethereum(イーサリアム)   :スマートコントラクトでdAppsが動く基盤。
    │   ├─ Solana(ソラナ)           :超高速・低手数料。NFT・DeFiで人気。
    │   ├─ Polkadot(ポルカドット)   :異なるチェーンの橋渡しをする接続ハブ。
    │   └─ Cosmos(コスモス)         :ブロックチェーン同士を接続するSDK提供。
    ├─ コンソーシアム型(②)※複数組織で共同運営
    │   ├─ Quorum(クォーラム)        :JPモルガン開発。企業用途でプライバシー対応。
    │   ├─ Hyperledger Besu(ベス)    :Ethereum互換で企業用。許可型ネットワーク対応。
    │   ├─ Hyperledger Fabric(ファブリック):企業向けモジュラー型。柔軟な権限設定が可能。
    │   ├─ Energy Web Chain(エナジー):電力業界向け。PoAで環境負荷を軽減。
    │   └─ XinFin(ジンフィン/XDC)   :貿易・金融向け。DPoSベースで高速かつ低コスト。
    └─ プライベート型(③)※単一組織が運用・管理
        └─ 注意:多くの専用サービスが統合・廃止されており、
            現在は主要クラウドサービスの一部として提供されています

① パブリックブロックチェーン(Public Blockchain)

✅「誰でもノードになれる、完全な分散型DLT」

プロジェクトコンセンサス特徴
Bitcoin(ビットコイン)PoW世界初のブロックチェーン。非中央集権型の通貨として、価値保存と改ざん耐性に優れる。
Ethereum(イーサリアム)PoSスマートコントラクトを導入した汎用ブロックチェーン。dAppsやDeFiの基盤として広く使われている。2022年にPoWからPoSに移行済み
Solana(ソラナ)PoH + PoS処理速度とスケーラビリティに優れたチェーン。NFTやゲーム、DeFiで高い人気を誇る。
Polkadot(ポルカドット)NPoS異なるブロックチェーン同士を接続できる相互運用性特化の設計。ハブ型チェーンを目指す。
Cosmos(コスモス)Tendermint(PBFT)独自チェーンの構築と相互接続を容易にする開発基盤(SDK)を提供。インターチェーン構想が特徴。

特徴まとめ

  • 改ざん耐性が最強(敵がいる前提)
  • 取引速度はやや遅め(多人数が合意するため)
  • 誰でも参加できる(完全にオープン)

② コンソーシアムブロックチェーン(Consortium Blockchain)

✅「複数の企業・組織で共同管理されるDLT」

プロジェクトコンセンサス特徴
Quorum(クォーラム)IBFT / RaftJPモルガンが開発したEthereum互換のエンタープライズ向けブロックチェーン。高速かつプライバシー保護機能を備える。
Hyperledger Besu(ハイパーレッジャー・ベス)PoA / IBFTEthereum互換のオープンソースクライアント。コンソーシアム/パーミッション型環境で活用される。
Hyperledger Fabric(ハイパーレッジャー・ファブリック)PBFT / Raft企業向けモジュラー型ブロックチェーン。柔軟な権限設定と複数組織での共同運用が可能。IBMやWalmartなど多数の企業が活用。
Energy Web Chain(エナジー・ウェブ・チェーン)PoA再生可能エネルギー市場向け。環境負荷を軽減するためにPoAを採用し、電力業界のトークン化を推進。
XinFin(ジンフィン/XDC)XDPoS国際貿易と金融取引に特化したハイブリッドチェーン。DPoSを改良し、高速性と低コストを実現。

特徴まとめ

  • 共通ルールで協力する企業間ネットワーク向け
  • パブリックより高速で、取引の秘匿性も確保しやすい
  • 完全な中央集権でもなく、全員参加でもない”中庸”型

③ プライベートブロックチェーン(Private Blockchain)

✅「一つの組織が主導し、信頼されたノードだけが参加」

現在の状況について(重要)

2025年現在、多くの専用プライベートブロックチェーンサービスは統合・廃止されています:

  • Azure Blockchain Service2021年9月に廃止済み。現在はAzure Confidential Ledgerに統合
  • Multichain2023年7月に運営停止。$126million のセキュリティ事故とCEO逮捕により事業終了
  • BlockApps STRATO:現在も存在するが、企業向けソリューションとして大きく転換

現在利用可能な選択肢

分類サービス特徴
クラウドサービスAWS Managed BlockchainAmazon提供。Hyperledger Fabricベース
Google Cloud BlockchainGoogle提供。多様なブロックチェーン基盤をサポート
IBM Blockchain PlatformIBM提供。Hyperledger Fabricベース
オープンソースOpenEthereum(旧Parity)Ethereum互換のプライベートチェーン構築
Hyperledger FabricLinux Foundation管理。企業向けモジュラー型

特徴まとめ

  • 完全に許可制。速くて柔軟
  • 通常は外部参加を想定せず、企業の業務効率化が目的
  • 既存の企業システムとの統合が容易
  • 現在は主要クラウドプロバイダーのサービスとして提供されることが多い

④ 非ブロックチェーン型DLT(≠チェーン構造)

✅「”ブロック”や”チェーン構造”を使わないDLT」

プロジェクトコンセンサス構造・特徴
Corda(コルダ)Notary(BFT)R3開発の金融機関向けDLT。ブロックを用いず、取引は相手とだけ共有するプライバシー重視の設計。
IOTA(アイオータ)TangleIoT向けに設計されたDAG(有向非環グラフ)構造のDLT。各トランザクションが他の2つのトランザクションを検証する仕組み。
Hedera Hashgraph(ヘデラ・ハッシュグラフ)Virtual Votingグラフ構造を採用した高速DLT。企業利用が多く、特許技術により高いセキュリティとスループットを実現。

特徴まとめ

  • ブロックにこだわらない柔軟な構造
  • 特定の業種(金融・IoT・企業)に特化して最適化されている
  • 正確には「ブロックチェーン」ではない → DLTの”別系統”
  • 従来のブロックチェーンの制約(スケーラビリティ問題など)を解決する設計

2025年時点での動向と補足

プロジェクトの現状について

活発な開発継続中:

  • Bitcoin、Ethereum、Solana、Polkadot、Cosmos
  • Hyperledger Fabric、IOTA、Hedera
  • 主要クラウドプロバイダーのブロックチェーンサービス

企業採用が進んでいる:

  • Hyperledger Fabric(IBM、Walmart等)
  • Quorum(金融機関)
  • Corda(銀行間決済)

⚠️ 注意が必要なプロジェクト:

  • Multichain:2023年7月に運営停止。セキュリティ事故により事業終了
  • Azure Blockchain Service:2021年9月に廃止済み
  • 一部のプライベートブロックチェーンサービスは統合・廃止されています

選択の指針

  • パブリック:非中央集権・透明性・グローバル展開が必要な場合
  • コンソーシアム:複数企業での協力・業界標準化が必要な場合
  • プライベート:社内効率化・既存システムとの統合が必要な場合(主要クラウドサービス経由)
  • 非ブロックチェーン型:特定業界の要件・高速処理が必要な場合

セキュリティと信頼性について

2025年現在、DLTプロジェクトを選択する際は以下の点も考慮することが重要です:

  • 開発の継続性:プロジェクトが活発に開発され、コミュニティが健全か
  • セキュリティ実績:過去のセキュリティ事故や対応実績
  • 企業サポート:メンテナンスやサポート体制の充実度
  • 規制対応:各国の規制動向への対応状況

まとめ

DLTって聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、実は「誰がどんな目的で使うか」で選択肢が大きく変わってきます。

もし今DLTを選ぶなら:

  • 世界中の人と取引したい → Bitcoin、Ethereum、Solanaなどのパブリック型
  • 会社同士で協力したい → Hyperledger Fabricなどのコンソーシアム型
  • 社内だけで使いたい → AWS、Google、IBMなどのクラウドサービス
  • 特別な用途がある → Corda(金融)、IOTA(IoT)など

2025年の今、気をつけたいのは:

  • サービスが突然終了することもある(MultichainやAzure Blockchain Serviceのように)
  • 新しい技術だからこそ、しっかり調べてから選ぶことが大切
  • 迷ったら、長く続いている有名なプロジェクトを選ぶのが安心

DLTの世界は日々進化していますが、基本的な分類を理解していれば、新しい技術が出てきても「これはどの分類かな?」と考えられるようになります。まずはこの4つの分類を覚えて、DLTの世界を楽しんでください!

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